○八幡市子ども条例
平成28年9月27日条例第26号
八幡市子ども条例
(目的)
第1条 この条例は、全ての子どもが幸福で健やかに育つ社会を実現するため、子どもにやさしいまちづくりの基本理念を定め、市、保護者、地域住民、子どもが育ち学ぶ施設及び事業者の役割等を明らかにすることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 子どもにやさしいまちづくり 子どもの権利を尊重し、子ども・子育て支援に社会全体で取組み、子どもが安心して豊かに暮らすことができ、八幡市に生活する全ての人々の共生が進められるまちづくりをいう。
(2) 子ども 市内に居住、通勤又は通学等をする子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)に規定する子どもをいう。
(3) 保護者 子ども・子育て支援法に規定する保護者をいう。
(4) 地域住民 市内に居住する者又は勤務場所を有する者(子どもを除く。)をいう。
(5) 子どもが育ち学ぶ施設 市内の児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する児童福祉施設、学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)に規定する認定こども園及び社会教育法(昭和24年法律第207号)に規定する社会教育に関する施設その他の子ども・子育て支援に関する施設の関係者をいう。
(6) 事業者 市内で事業活動を行う個人又は法人その他の団体(子どもが育ち学ぶ施設を除く。)をいう。
(7) 子どもの権利 児童福祉法第1条に規定する権利をいう。
(8) 子ども・子育て支援 子ども・子育て支援法に規定する子ども・子育て支援をいう。
(基本理念)
第3条 子どもにやさしいまちづくりを実現するための基本理念は、次のとおりとする。
(1) 子どもの権利を尊重し、子どもにやさしいまちづくりを進めることを全ての取組みの基礎とすること。
(2) 子どもの幸福が考えられ、不当な差別的取扱いを受けることがないようにするとともに、子どもが本来持つ力や可能性を発揮しながら自己実現を図れるよう、子どもの最善の利益を考慮すること。
(3) 子どもが健やかに成長し、社会とのかかわりを自覚しつつ、自立した個人としての自己を確立し、他者とともに次代の社会を担うことができるように育まれること。
(4) 市、保護者、地域住民、子どもが育ち学ぶ施設及び事業者が、それぞれの責務又は役割に応じ、主体的な取組みを行うとともに、相互の連携及び協働により、子どもが健やかに育つことができるための環境が整えられること。
(5) 福祉、保健、教育その他の子育て関連分野において、子どもの育成に関して総合的な取組みがなされること。
(子どもの生きる権利)
第4条 子どもは、健やかに安心して生きるために、次に掲げることを保障されなければならない。
(1) 命が守られ、かけがえのない存在として、大切にされること。
(2) あらゆる形態の差別や暴力を受けず、放任されないこと。
(3) 健康に配慮され、適切な医療が受けられること。
(4) 愛情及び理解を持って育まれること。
(5) 安全な環境において生活ができること。
(子どもの育つ権利)
第5条 子どもは、心身ともに豊かに育つために、次に掲げることを保障されなければならない。
(1) 自分らしさが認められ、個人として尊重されること。
(2) 年齢及び発達に応じ、安心できる場所で学び、遊び及び休息すること。
(3) 様々な自然、文化、芸術、スポーツ等に慣れ親しむこと。
(4) 成長に必要な情報の入手や活用ができること。
(5) 年齢及び発達に応じて、適切な助言や支援を受けられること。
(子どもの守られる権利)
第6条 子どもは、自分を守り、又は自分が守られるため、次に掲げることを保障されなければならない。
(1) 虐待、暴力、いじめ等を受けないこと。
(2) 犯罪、危険その他有害な環境から守られること。
(3) 自分の考えが尊重され、不当な扱いを受けないこと。
(4) プライバシーが守られ、名誉及び信用が傷つけられないこと。
(5) 困ったときに気軽に相談し、適切な支援を受けられること。
(子どもの参加する権利)
第7条 子どもは、その年齢及び発達に応じ、自ら社会に参加するため、次に掲げることを保障されなければならない。
(1) 自己表現や意見の表明ができ、それが尊重されること。
(2) 意見を表明するために必要な情報の提供等の支援を受けられること。
(3) 社会に参画し、意見を生かされる機会があること。
(4) 仲間を作り、仲間と集い、又は仲間と活動すること。
(5) 社会参加に際して、適切な支援を受けられること。
(子どもの主体的な育み)
第8条 子どもは、心身ともに健やかに育ち、社会との関わりを自覚しつつ、自立した個人としての自己を確立し、他者とともに協力して次代の社会を担うことができるように、次に掲げる事項について、その年齢並びに成長に応じ、自ら学び、考え及び行動するよう努めるものとする。
(1) 子どもが自分を大切にするとともに、自らの可能性を信じ、自身の成長のために努力をすること。
(2) 法その他の規則を守り、他者を大切にすること。
(3) 他者との関わりを大切にする中で、主体的に生きていく力を高め、社会の一員として必要とされ、まちづくりに貢献できること。
(共通の役割)
第9条 市、保護者、地域住民、子どもが育ち学ぶ施設及び事業者は、子どもにやさしいまちづくりを進める上で、次に掲げる役割を連携及び協働して果たすよう努めるものとする。
(1) 子どもの生活上の安全に配慮し、子どもが安心して生活することができるための環境づくりを行うこと。
(2) 子どもが本来持つ力や可能性を発揮しながら自己実現を図れるように、年齢及び成長に応じ、その育ちを支えること。
(3) 子どもが、集団生活における他者との関わりを通じて他者を尊重する心、規範意識、豊かな人間性、社会性等を身に付けることができるように、年齢及び成長に応じ、その育ちを支えること。
2 市、保護者、地域住民、子どもが育ち学ぶ施設及び事業者は、子育てをしている家庭に配慮し、保護者が安心して子育てをすることができるよう支援しなければならない。
3 市、保護者、地域住民、子どもが育ち学ぶ施設及び事業者は、子育てをしている家庭の実情に合わせて、子育てと仕事の両立を支援する環境づくりに努めるものとする。
(市の責務)
第10条 市は、第3条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、次に掲げる責務を担うものとする。
(1) 子どもの権利を尊重し、子ども・子育てに関する施策を実施すること。
(2) 子どもが抱えている問題その他子どもに関する相談に対し、京都府その他の関係機関と連携し、適切な対応を行うこと。
(3) 子ども、保護者、地域住民、子どもが育ち学ぶ施設及び事業者がそれぞれの立場で子どもの最善の利益を実現することができるよう、必要な支援を行うこと。
(4) 子どもの権利に関して、子ども、保護者、地域住民、子どもが育ち学ぶ施設及び事業者の理解を深めるために、普及及び啓発に努めること。
(保護者の役割)
第11条 保護者は、基本理念にのっとり、次に掲げる役割を果たすよう努めるものとする。
(1) 子どもを心身ともに健やかに育成することについて、第一義的責任を負うことを認識し、年齢及び成長に応じた養育をすること。
(2) 子どもに対して、いかなる理由によっても体罰及び虐待を行ってはならないこと。
(3) 子どもが自らの権利を理解し、他者の権利を尊重できるよう支援すること。
(4) 市が実施する子どもにやさしいまちづくり及び子ども・子育て支援に関する施策に積極的に関わるよう努めること。
(地域住民の役割)
第12条 地域住民は、基本理念にのっとり、次の役割を担うよう努めるものとする。
(1) 子どもの豊かな人間性が人、自然、社会及び文化との関わりの中で育まれることを認識し、子どもの健やかな育ちを支援すること。
(2) 安全で安心して過ごすことができる地域づくりにより、犯罪、いじめ及び虐待から子どもを守ること。
(3) 子どもが地域社会の一員として、地域の活動に参加できる機会を確保すること。
(4) 市が実施する子どもにやさしいまちづくり及び子ども・子育て支援に関する施策に協力すること。
(子どもが育ち学ぶ施設の役割)
第13条 子どもが育ち学ぶ施設は、基本理念にのっとり、次に掲げる役割を担うよう努めるものとする。
(1) 子どもの育成における重要な役割を担っていることを認識すること。
(2) 子どもが集団による生活、学習その他の活動を通して、主体的に育ち、学ぶことができるよう、子どもの年齢及び発達に応じた必要な支援を行うこと。
(3) 子どもに対して、いかなる理由によっても体罰及び虐待を行ってはならないこと。
(4) 子どもに対するいじめ、体罰及び虐待を未然に防止するとともに、これらの解決を図るため、関係機関と連携すること。
(5) 子どもが自らの権利を理解し、他者の権利を尊重できるよう必要な支援を行うこと。
(6) 市が実施する子どもにやさしいまちづくり及び子ども・子育て支援に関する施策に協力すること。
(事業者の役割)
第14条 事業者は、基本理念にのっとり、次に掲げる役割を担うよう努めるものとする。
(1) 地域社会における社会貢献等の社会的な責任を認識して、事業活動を行うこと。
(2) 生活と仕事の調和の視点から、子どもを養育する従業員が子育てと仕事を両立することができるよう、職場の環境づくりを行うこと。
(3) 子育てと仕事を両立できる働き方に関して、従業員の意識の向上を図るとともに、従業員に対して、子ども及び子育て家庭を支援する取組みへの参加又は協力を促すこと。
(4) 市が実施する子どもにやさしいまちづくり及び子ども・子育て支援に関する施策に協力すること。
(特別な配慮及び支援を必要とする子どもとその家庭に対する支援)
第15条 市、保護者、地域住民、子どもが育ち学ぶ施設及び事業者は、障害、疾病、虐待、貧困その他の事情により、特別な配慮及び支援を必要とする子どもが、適切な支援を受けて成長し、社会参加をしていけるよう、その家庭を含めて相談・情報の提供など総合的な支援を行うよう努めるものとする。
(意見表明や参加の促進)
第16条 市は、子どもにやさしいまちづくり及び子どもに関する施策について、子どもが意見表明をし、参加する場を設けるよう努めるものとする。
2 市は、子どもの意見表明や参加の場では、子どもの自主的及び自発的な活動を奨励し、支援するものとする。
3 市は、子どもの意見表明や参加の場でまとめられ、提出された意見を尊重するものとする。
(委任)
第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。