石清水社・石清水井

男山の東斜面、本社へ至る裏参道の中腹に、石清水八幡宮の摂社である石清水社があります。「石清水」とは、この男山に古くから奇異の霊泉があったことによる名前で、石清水八幡宮成立前からこの地を指して呼ばれていたともいわれ、八幡神の鎮座より前に「石清水寺」という山寺があったという伝承も残されています。
もとより水源は東総門の辺りから流れていたといい、本社が造営を重ね参道も拡張される間にこの流れはなくなり、水脈は石清水井のある処に留まって、寒い冬にも、厳しい干ばつの際にも枯れることがなかったため、神聖な泉と人々に長い間尊ばれてきました。歴代の天皇や将軍は、この泉から汲んだ霊水を本社に献供してきたと伝えられ、今でもこの水が神事に使われています。
現存する石清水社の建造物は17世紀初頭に建てられました。向かって右の本殿と、正面の井戸の上屋である神水舎ともに、華麗な彫刻や彩色で飾られています。
寛永13年(1636)に寄進された石造りの鳥居は、境内に完全な形で残る鳥居の中で最古のものです。
石清水社本殿、井戸を含む神水舎および鳥居は京都府指定文化財となっています。石清水社の祭神は天之御中主命(あめのみなかぬしのみこと)です。