模型飛行器でいざ探検、
3つの川が出あう
ネイチャースポット。

YAWATA STORY

05

3つの川

八幡は三川合流の地

爽やかな風が抜ける土手の上に続く桜のトンネル。
背割堤(せわりてい)は西日本でも有数の桜スポットです。

遊歩道が続く河川敷は、バーベキューやハイキングなど
思い思いの休日を過ごす人々で賑わっています。

遠くに、熱心に野鳥の姿を観察する人がひとり。
発明家の二宮忠八(にのみやちゅうはち)です。

鳥をヒントに考えたカラス型飛行器、人を乗せて大空を飛べないものだろうか…。

人類初の有人動力飛行に成功したライト兄弟。
忠八は、それよりおよそ13年も早く、飛行原理を発案した人物でした。

満を持して、木津川の河川敷で飛行実験の計画をしていたとき、ライト兄弟の飛行成功のニュースを聞いたんです。先を越されたときは、本当にくやしかった…涙

残念なことに、飛行器は実用化には至りませんでしたが、
忠八は日本航空界の父と呼ばれ親しまれています。

忠八に八幡のまちを案内してもらいましょう!

これはカラス型飛行器から人が乗れるように改良した玉虫型飛行器です!
これで空を飛ぶのが私の夢でした。

忠八が飛行実験に最適と考えた河川敷は、3つの川が出あい1本の大河になる「三川合流(さんせんごうりゅう)」のめずらしい地形。桂川・宇治川・木津川が八幡の地で合流し、淀川となって大阪へ流れていきます。

江戸時代後期までの淀川は、京都・大阪を結ぶ物流の大動脈として多くの船が行き交いました。特に石清水八幡宮詣での人々や、運び込まれる物資などで大賑わいだったそうです。

木津川のやや上流へ移動すると、「浜茶(はまちゃ)」と呼ばれる茶畑エリアへ風景が変わります。浜茶は茶樹の上に覆いをかぶせて日光を調整しながら栽培し、抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)や玉露など高級茶に加工されます。

川の増水によって運ばれる肥沃な土が良質な茶葉を育てます。だから、浜茶は河川敷の砂地がベストなのだそう!

茶畑の間に架かる木造りの橋は流れ橋です。橋板が固定されておらず、川が増水すると橋脚を残して流れるように作られています。

ありのままに川の流れに身をゆだねるとは、きわめて日本的な橋ですね!

時代劇のロケ地で有名とあって、風情もたっぷりですね。サンセットの美しさは格別。

ぐるりと旋回して、背割堤(せわりてい)へ。途中に見える銀色に輝く鳥居や、ステンドグラス窓の社殿が特徴の飛行(ひこう)神社へ立ち寄りましょう。

空の安全を願って、私が八幡の自宅に建てた神社には、航空業界から宇宙開発者まで、空に関わる人たちがよく参拝してくれます。飛行機が「落ちない」ことにあやかって、受験合格のご利益を求める人も多いんです。

大自然が創造した3つの川は、いつも八幡の歴史と共に歩んできました。
現在は桜やお茶、豊かな自然の宝庫として人々を癒す存在です。

晴れた日は自転車で河川敷のサイクリングロードを駆け抜けるのもおすすめです。