単伝庵
(らくがき寺)

  • 大黒堂
  • らくがき祈願
臨済宗妙心寺派の単伝庵は、通称「らくがき寺」として知られています。新しく大黒堂が建てられたとき、多くの援助を受けたことに感謝して、ひとりひとりの願い事が大黒天によく見てもらえるようにと、堂内の白壁に直接願いを書いたのがはじまりで、「絵馬」の役割を果たしています。白壁は毎年12月の終わりに塗り直されるので、新年になると手つかずの白い壁に願い事を書くことができます。
単伝庵の起源は不明ですが、現存する記録によると、正徳元年(1711)に臨済宗妙心寺派の僧侶である瑞応(ずいおう)(1664~1734)によって再建されました。その後何度か移転され、20世紀初頭には荒廃していましたが、戦後新たに就任した住職は托鉢を行い、寄付を募り、昭和32年(1957)に新しい大黒堂ができ、現在の形で復興しました。
大黒堂に安置されている像は、財福の神様であり七福神の一柱である大黒天の小さな木像です。大黒天が足を踏み出しているように彫られているため「走り大黒」と呼ばれています。大きな袋を背負い、打ち出の小槌を手に持ち、その姿は繁栄を象徴しています。寺伝によると南北朝時代に活躍した武将である楠木正成(くすのきまさしげ)(1294?~1336)が、戦の勝利を祈願して石清水八幡宮に寄進した楠の一部から作られたと伝えられています。
大黒堂の他に、2階建ての本堂があり、本尊の釈迦牟尼仏像と、観音菩薩の像を安置しています。慈悲の菩薩である観音菩薩像は200年以上前から当寺に伝わっています。地蔵堂は、生命のある全てのものの救世主である地蔵菩薩を祀っており、手入れの行き届いた庭には、他にもいくつか小さな祭壇が安置されています。
単伝庵は土・日・年末年始に参拝のため公開されています。平日は、電話での事前予約により団体での参拝が可能です。