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八角堂の保存修理工事の状況(平成30年8月末時点)

[2018年11月1日]

八幡市では、平成26年度より史跡石清水八幡宮境内にある八角堂(八幡大芝33番地)の保存修理工事を実施しています。
平成30年8月末時点での保存修理工事の状況について紹介します。

工事についての過去の記事

工事についての過去の紹介記事については、以下をご覧ください。

(注)タイトルをクリックすると過去の紹介記事にリンクします。

左官工事【小舞掻き~荒壁】(平成30年6月~8月)

【竹小舞の材料となる竹】

6月より最終年度となる今年度の工事が開始されました。

今年度の工事は、八角堂の壁を作っていく左官工事から開始です。
左官工事として、まず初めに、壁の芯の部分となる「小舞下地(こまいしたじ)を作る
「小舞掻き(こまいかき)」という工程から始めます。

八角堂の小舞下地は竹製(=「竹小舞(たけこまい)」)です。
上の写真で、八角堂の前に束ねて置いてあるのが、材料となる竹です。

【左:竹を設置している様子】

【右:高い壁の部分の様子】

上の左の写真のように、竹を縦横に付けていきます。

高いところにある壁については、ローリングタワーという足場を使って作業を行います。

【上段→小舞編み完了、下段→これから小舞編み】

竹をつけ終えたら、次に上の写真に写っている壁の上段部分のように、
縄で編んでいく「小舞編み」という作業に移ります。

編んでいる縄は、ワラを編んだものです。
なぜワラ縄を使うのかは、後程紹介します。

【左:小舞を編んでいる様子】

【右:ワラ縄で編み終えた小舞下地】

上の左の写真は、小舞編みの様子を写したもので、
上の右の写真は、小舞編みが完了した壁を写したものです。

これで、小舞掻きの工程が完了しました。
次の作業は、

【荒壁を作っていく様子】

上の写真の作業ですが、
「左官」と聞くと、まず皆さんが思い浮かばれるであろう作業ではないでしょうか。
ここからは、壁を塗り重ねていく作業となります。

小舞下地ができたところに、最初に塗り付けて作っていくのが「荒壁(あらかべ)」で、
荒壁を作っていくことを「下塗り」と言います。

【荒壁となる荒土】

【今回使用する荒土の量】

【荒土にするために配合する切りワラ】

荒壁に作るために塗っていく「荒土(あらつち)」は、粘性のある砂混じりの粘土に、切りワラなどを混ぜ、水練りしたものです。

土以外に切りワラなどを混ぜるのは、塗った壁土が乾燥する際に、過度なひび割れが起こるのを防ぐためです。

【左:下塗り完了直後の壁】

【右:下塗り後、乾燥が進んだ壁】

上の写真は、下塗りの直後の壁と、
ある程度乾燥が進んだ壁を写したものです。

写真ではわかりづらいですが、下塗りの直後の壁は、荒土が水分を含んだ状態ですが、乾燥が進むと、硬化していきます。
乾燥すると、荒土に練り込まれている切りワラなどが表面に浮き出てきたことによる細かな凹凸や小さなひび割れが起きます。
「荒土に切りワラなどが練り込まれているのは、過度のひび割れを防ぐため」と上で紹介しましたが、
小さなひび割れが起こることは、実は計算されたものなのです。

今回の八角堂の壁を仕上げていく工程は、大きく分けて
小舞掻き → 下塗り(荒壁) → 中塗り → 仕上げ(漆喰)
と進めていきます。

荒壁の施工後に、細かな凹凸や小さなひび割れが起きるのは、
荒土の乾燥がしっかり乾燥されて、壁の収縮がこれ以上起きないことを示す合図であるとともに、
次の中塗りで施工していく壁土が、この凹凸やひび割れがあることで、接着が良くなるというわけです。
最後の仕上げの工程では、きれいな平らな壁が完成します。

話を少し戻します。

【左:下塗り前のテープでの養生】

【右:下塗り前のビニールでの養生】

今回の工事では、都合により左官工事よりも塗装工事を先に行っているため、
すでに塗り終わった部分に、荒土が付着しないように、
下塗り作業前に養生していました。

なぜ小舞編みにワラ縄を使うのか

【小舞編みに用いるワラ縄】

先ほど、小舞編みにはワラ縄を用いると説明しました。
今回の工事は、明治時代に八角堂が移築された当初の状態に復原するものですので、
化学繊維の縄は使いません。

植物由来の縄としては、
造園業の方が、庭の樹木を固定する際に使う「シュロ縄」もあります。

では、なぜシュロ縄ではなく、ワラ縄なのか。

ワラは、水分をよく吸収してくれるので、
小舞編みの次に行う下塗りにおいて、荒土の水分をしっかり吸収してくれます。
そのあと乾燥が進むことで、ワラ縄自体の収縮が進み、編んだ部分がさらにきつく締まることにより、壁の強度が増すのです。

一方、シュロは油分を多く含む植物であるため、
仮にシュロ縄を使って小舞を編んでしまうと、
荒土の水分の吸収がうまく進まず、
結果、ワラ縄で小舞を編むのに比べると、壁の強度が弱くなってしまいます。

シュロ縄は、水に塗れても油分が水分を弾くことで、腐りにくいという利点がありますが、
小舞編みの材料とするには、この性質により不向きなものとなります。

素材の特性を活かした先人の知恵が感じられますね。

話を、作業の方に戻します。

【左:外側の下塗り完了後の八角堂 南西より】

【右:外側の下塗り完了後の堂内 北西より】

堂の外側の下塗りが終わりました。

堂の外側の荒土が半乾きの間に、続いて堂の内側の下塗りをしていきます。

【右:内側の下塗りも完了した堂内 南東部】

堂の内側の壁の下塗りも完了しました。

【左:内側の下塗りも完了した南部の小さい壁】

【右:養生により塗装が汚れなかった八角堂北面】

今回の工事で、八角堂に床を張ることになるため、
床下となる部分にも小さい壁があるので、ここも下塗りを行います。

養生をして下塗りに臨みましたので、
塗装が汚れることなく作業を終えることができました。

ここからは、しっかりと壁を乾燥させることが必要なので、
乾燥期間としつつ、左官工事は一時中断となります。

今回の記事での紹介は以上です。

次の工程は、木工事となり、床を張っていく、「床組み」の作業に移っていきます。

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