八角堂の保存修理工事の状況(平成30年1月末時点)
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八幡市では、平成26年度より史跡石清水八幡宮境内にある八角堂(八幡大芝33番地)の保存修理工事を実施しています。
平成30年1月末時点での保存修理工事の状況について紹介します。
屋根工事【鬼瓦の据付】(平成30年1月)
次は、屋根の隅棟(すみむね)の瓦の葺上げです。
まずは、そのうちの、鬼瓦の据付について紹介します。
八角堂の屋根の形は、その名のとおり八角形なので、
この8つの角に2個ずつ、
合計16個の鬼瓦が据えられることになります。
- 軒先(手前)側にあるのを「一の鬼」
- 奥(後ろ)側にあるのを「二の鬼」
と呼び、さらに方角を示す言葉を前につけて呼ぶことで、
工事中に職人同士が、どの鬼瓦について話しているかが、
わかるようにしていました。
【左:北北東の一の鬼と二の鬼】
【右:北北西の一の鬼と二の鬼】
次の2枚の写真を見てください。
鬼瓦に毛布が掛けられています。
まるで、鬼瓦が布団を着ているみたいで暖かそうですね。
でも、実際にこの毛布は、暖かくするために掛けているんです。
毛布を取ってみると、、、
鬼瓦の後ろに、熨斗(のし)という瓦が重ねて葺かれています。
熨斗を重ねて葺くために、前号でも紹介した南蛮漆喰(なんばんじっくい)を塗ることで、
乾くと固定されます。
よく見ると、小さい角材が、熨斗の間に噛ませてあります。
これは、熨斗と熨斗の隙間が空いた状態で固定するためのものです。
熨斗と熨斗の隙間が空いている方が、完成後に屋根を見た時に、
綺麗に見えるのです。
この角材がないと、熨斗の重さで、隙間がなくなってしまうのです。
職人による細かい作業の一つですね。
南蛮漆喰を乾かす際、外気が冷たすぎると、中の水分が凍ってしまいます。
今は1月なので、気温が0度近くになることもあります。
水は、凍ると体積が増え、その分南蛮漆喰が膨張してしまいます。
さらに、できた氷の粒がその後蒸発すると、南蛮漆喰の中に小さい空洞がたくさんできてしまい、
これが後に南蛮漆喰のひび割れを起こすと、雨漏れの原因となる隙間になってしまうのです。
つまり、南蛮漆喰が凍らないようにするための毛布、ということです。
鬼瓦について
【東北東の一の鬼二の鬼】
こちらの鬼瓦も毛布が掛かっていますね。
注目いただきたいのは、東北東の二の鬼。
【左:東北東の二の鬼(向かって左から)】
【右:東北東の二の鬼(向かって右から)】
よく見ると、鬼瓦の顔が、真ん中、右、左に、なんと3つあります!
八角堂の全16個の鬼瓦の顔は、すべて違いますが、
顔が3つもある鬼瓦は、この東北東の二の鬼だけです。
なぜ3面の鬼瓦があるのか、はっきりした理由はわかりませんが、
据えられている位置が北東、「鬼門」を指す方角であることから、
「鬼門封じ」の意味が込められている、のかもしれません。
話を作業についてに戻すと、、、
【北北西の一の鬼】
鬼瓦の上に、三つ巴のある、まるでちょんまげのような瓦が据えられました。
鳥衾(とりぶすま)という瓦です。
【鳥衾が葺かれた北北西の一の鬼と二の鬼】
二の鬼にも鳥衾が葺かれます。
鬼瓦を据え付け、熨斗(のし)、鳥衾(とりふすま)を葺き上げると、
次に、雁振(がんぶり)という瓦を葺いていきます。
下の3枚の写真は、雁振の葺き上げている様子です。
【左:瓦の大きさなどを研磨して調整】
【中央:南蛮漆喰を敷いていきます】
【右:雁振を葺いていきます】
【雁振まで噴き上げられた屋根(南東面)】
雁振も葺き上がりました。
以上で、屋根工事のうち、隅棟の瓦の葺上げが完了しました。
残すは、屋根のてっぺん、「露盤・宝珠の据付」です。
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八幡市役所こども未来部文化財課
電話: 075-972-2580 ファックス: 075-972-2588
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