名勝松花堂及び書院庭園の災害復旧工事について(令和4年度・令和5年度分)
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八幡市では、令和元年度より松花堂庭園(八幡女郎花)の内園(ないえん)を主とする、名勝松花堂及び書院庭園の災害復旧工事を実施しております。
このたびの工事は、平成30年6月に起きた大阪府北部を震源とする地震により被害を受けた名勝指定地内の建物や石造物などについて、国の補助金を活用して行う災害復旧工事です。
令和3年度の記事では、書院と蔵のほか、茶室として有名な松花堂、かつて正門として使われた表門の本格的な工事についてを報告しました。
名勝松花堂及び書院庭園の災害復旧工事について(令和4年3月時点)へのリンク(別ウインドウで開く)
令和4年度から5年度にかけては前年度に引き続き、書院及び蔵の補修・復旧工事を進めました。
今回は、書院と蔵に分けて、その内容と進捗状況についてご報告します。
![松花堂庭園地図](./cmsfiles/contents/0000009/9476/R03_HP_BW.jpg)
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書院
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現況調査
令和3年度工事で書院の大部分を解体しましたが、その後の調査によって、新たに傷んだ箇所や補修が必要な部分があることがわかりました。
![屋根を上から見た写真](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_4-6.png)
![屋根を支える木材の腐食部分の様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_8.png)
下屋の屋根は、瓦を外すと予想以上に傷んでおり、屋根を支える木材も腐食していました。
(注)下屋とは、建造物の大屋根以外の屋根、およびその下の空間のこと。
![折上天井の様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_2.png)
![天井部材の食害の様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_7.png)
座敷の折上天井にも破損が見つかり、またその周辺はシロアリによる食害も受けていました。
![壁解体後の様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_1.png)
座敷の土壁も劣化が著しく、壁としての強度を保つことができないため、解体しました。
![床下部材の様子1枚目](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_4.png)
床下の様子。天井部分と同じく、シロアリによる食害が著しいです。
![床下部材の様子2枚目](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_5.png)
柱を支える柱石が沈下していたので取り外した様子。
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補修工事
損傷している部材を補修したり、傷みが激しい部材は据替を行います。
![補修中の屋根の様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_15.png)
下屋の屋根については、必要な個所を取替えました。
![屋根部材の補修の様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_10.png)
![天井部材の補修の様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_9.png)
座敷の折上天井は傷んでいる部分のみを補修しました。
![床下の補修の様子1枚目](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_11.png)
床下についても同様に部分補修を行いました。
![床下の補修の様子2枚目](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_12.png)
柱を根継ぎし、沈下防止の補強をして柱石を据えています。
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建て起こし調整
地震や経年により、建物に歪みが生じていたため、ワイヤー等で歪みを修正します。
![ワイヤーで傾きを補修している様子1枚目](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_13.png)
![ワイヤーで傾きを補修している様子2枚目](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_14.png)
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耐震補強工事
![構造柱補強の様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_16.png)
![耐震リングを設置した様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_5-1.jpg)
建物の強度を上げるため構造柱の補強を行うとともに、柱と梁に耐震リングを取り付け、耐震補強をしました。
(注)耐震リングとは、柱と梁に取り付けることで地震の際にリングが伸縮し、柔軟に揺れを吸収するもの。。
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左官工事
土壁解体後、損傷した下地の竹を取り除き、竹編みを補修しました。
![壁内部の竹を編みなおしている様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_20.png)
![竹を編みなおした後の様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_3-2.png)
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南蔵
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解体
全体的に傷みや劣化が進んでいたため、土壁や床板についても解体しました。
![土壁を解体している様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_2-1.png)
土壁解体の様子(1)
![土壁を解体した後の様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_2-2.png)
土壁解体の様子(2)
![土壁下の竹も解体した様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_2-3.png)
下地竹も取り除きました。
![床下の様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_2-4.png)
床板を取り除き、床下が確認できるようになりました。
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現況調査
![部材が傷んでいる様子1枚目](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_2-5.png)
シロアリによる食害と腐朽で激しく損傷しています。
![部材が傷んでいる様子2枚目](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_2-7.png)
床下も同様に虫害と腐朽が激しいです。
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補修工事
南蔵についても同様に、損傷している部材を補修したり、傷みが激しい部材は据替を行います。
![部材の補修の様子1枚目](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_2-6.png)
蔵の出入口上部を支える柱を取替えました。
![部材の補修の様子2枚目](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_2-8.png)
土台部分
![木材に防蟻、防腐処理を行っている様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_2-9.png)
新しく使用する木材には、防蟻・防腐処理を行います。
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左官工事
新しく下地竹を編みなおし、荒壁土を塗っていきます。
![土壁内部の竹を編みなおしている様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_3-1.png)
![外壁の荒壁を塗り付けている様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_3-3.png)
![外壁の荒壁を塗り終わった様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_3-4.png)
荒壁塗後の外壁の様子
![内壁の荒壁を塗り終わった様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_3-5.png)
荒壁塗後の内壁の様子。内・外壁ともに今後もいくつか塗りの工程を重ねます。
令和4年度および5年度の作業はここまで。
今後も作業進捗に応じてホームページ等でお知らせいたします。
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ここに注目「匠」の技
文化財の建造物修理では、傷みが激しい部材であっても、使用できる部分があれば、接木や埋木を施し、可能な限り元の部材を残します。そのためには、熟練した職人の技術が必要となります。
埋木の様子
![埋木での補修の様子1枚目](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_4-2.png)
![埋木での補修の様子2枚目](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_4-4.png)
接木の様子
![接木での補修の様子1枚目](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_4-3.png)
![接木での補修の様子2枚目](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_18.png)
![ほぞ接ぎの様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_4-1.png)
木材はほぞ接ぎで接木します。
![修補年度の焼き入れの様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_2-11.png)
今回新調した部材には、修理履歴を後世に伝えるため修補年度を焼き入れしています。
![土壁の土を練っている様子](./cmsfiles/contents/0000009/9476/HP_21.png)
蔵の土壁は、粘土を含む土と水、藁を混ぜながら練りと熟成を繰り返して作ります。とても手間のかかる工程です。
お問い合わせ
八幡市役所こども未来部文化財課
電話: 075-972-2580 ファックス: 075-972-2588
電話番号のかけ間違いにご注意ください!
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