平成26年に国の名勝に指定された松花堂及び書院庭園は、平成30年に発生した大阪府北部を震源とする地震により、石灯籠、書院、表門などが被災しました。
これらは、名勝の重要な構成要素と位置付けられているため、令和元年より国の補助を受け、災害復旧事業として修理工事を実施しています。
令和2年度は、書院の解体に必要な素屋根(すやね)の設置、軒足場(のきあしば)を用いて行う下屋部分の解体について報告しました。
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令和3年度は、書院と蔵のほか、茶室として有名な松花堂、かつて正門として使われた表門の本格的な工事に着手しました。
今回は、その様子をご紹介します。
瓦、屋根部材の一部、床板を取り外しました。
解体前の書院屋根
立派な木材が使われています
床板の取り外し
床下の状態がよくわかります
壁のひび割れや剥落した部分を修理しました。
修理前の状態
修理完了
取り外した部材を元の位置に戻せるように番付します
軒先の補修作業
外した部材を戻します
薄い杉板を打ち付けることで、雨の侵入を防ぎます
作業完了
地震によって大きく傾き、倒壊寸前の状態でした。
門自体の傷みも激しかったので、すべてを解体し、本格的な修理を行いました。
修理前の状態
瓦を取り外す
瓦下の土を取り除いた状態
番付し、解体作業を進めます
屋根解体の作業完了後、柱を取り外します
敷石にも番付し、取り外します
石がずれないよう、慎重に戻します
敷石部分の復旧完了
門を建てていきます
門の両側にある塀も、元に戻します
令和3年度工事はここまで。
屋根瓦を戻す工事は、令和4年度に行う予定です。
現在修理を進めている書院や南蔵、表門などは、伝統的な木造建築の工法が用いられています。
このような建物の修理では、傷みの激しい部材は新調しますが、部分的に傷んでいる部材は、その部分のみを削り取り、新しい木材を用いて補修します。
補修部分は、元の部材との整合を保つ必要があるため、その加工には、熟練した木工技術が必要となります。
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