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あしあと

    八角堂の保存修理工事の状況(平成29年10月時点)

    • [公開日:]
    • ID:4578

    八角堂の保存修理工事の状況(平成29年10月時点)

    八幡市では、平成26年度より史跡石清水八幡宮境内にある八角堂(八幡大芝33番地)の保存修理工事を実施しています。

    平成29年10月時点での保存修理工事の状況について紹介します。

    屋根工事(平成29年10月~)

    今年度の工事内容の大部分を占めます、屋根工事について紹介します。


    写真は、瓦を葺く前の状態「土居葺き(どいぶき)」の様子です。


    瓦の葺き方は、「土葺き(つちぶき)」と「から葺き(からぶき)」の大きく2種類の工法に分けることができます。

    今回の工事では、屋根の上に土を敷かない「から葺き」の工法で、瓦を葺き上げます。


    写真は、瓦を葺く際に必要なレールのようなもの(「桟(さん)」)を設置する「桟打ち(さんうち)」という工程を、

    南側の屋根で施工している様子です。

    この面では、まず横桟(よこざん)を打ち、次に縦桟(たてざん)を打っていきます。

    瓦について

    文化財の修復をする場合、用いられている古材をできる限り再利用して保存修理をします。

    今回の保存修理工事で屋根に葺く瓦については、

    • 新調した瓦
    • そのまま再利用する瓦
    • 部分的に補修して再利用する瓦(鬼瓦等)

    があり、これらを組み合わせて修理を行います。


    この「新しい瓦」と「古い瓦」をどう組み合わせていくかが難しいのです。

    一番多く使用される「平瓦(ひらがわら)」を例にすると・・・




    左に、もともと使われていた古い瓦、

    右に、今回の工事で新調した新しい瓦を、
    それぞれ並べてみました。

    よく見ると瓦の厚み、幅、湾曲具合などが違うのがわかります。


    八角堂の屋根には、新旧合わせて約6千枚もの平瓦を葺くので、
    4,5枚だけ並べてこれだけの差が出るので、この差を埋めるための工夫が必要となります。


    また、右の新調した瓦の列は、上下の瓦同士で隙間があまりないのに比べて、
    左の古い瓦の列は、上下の瓦同士の隙間が多いのがわかります。
    (※上から2枚目と3枚目の間が、特に隙間が空いています。)

    時代が進み、現在の技術では、何千枚もの瓦を均一に作ることができますが、
    昔はそこまで精密には作れなかったので、同じものを作っても誤差が出てきてしまいます。


    なので、再利用する古い瓦についても、一度並べてみて形などがなるべく同じものを選別する必要があります。

    八角堂の屋根のかたちについて

    八角堂は、上から見るとその名のとおり、八角形のかたちをした建物です。

    八角形と言っても、すべての辺の長さが同じである正八角形ではなく、

    四角形の四隅を切り落とした、「隅切り八角」と呼ばれる特殊なかたちをしています。


    そのため、屋根の面が全部で8面ありますが、

    • 東・西・南・北にある4面
    • 上の4面より狭い、南東・南西・北西・北東の4面

    の2種類の形の面があります。

    今回の屋根工事では、大きく分けると

    • 新調した瓦を葺く面
    • 古い瓦を葺く面

    があることになります。

    下の図は、新旧の平瓦の配置をおおよそ示したものです。


    そうすると、新旧の瓦で厚み、幅、湾曲具合などが違うので、

    瓦を葺く前に行う桟打ちの仕方が変わってきます。

         新調した瓦を葺く【南西面】

          古い瓦を葺く【北東面】

    よく見ると、左は下から桟が〔横桟→縦桟〕になっているのに対し、
    右は〔縦桟→横桟→縦桟〕と、縦桟が一つ多いのがわかります。

    これは、新旧の瓦の厚みの違いに関係があります。


    瓦を3枚葺いた厚み「葺き厚(ふきあつ)」が、新しい瓦だと4寸(すん)【約12.1センチ】あるのに対し、

    古い瓦は、3寸5分(ぶ)【約10.6センチ】しかありません。

    ※1寸が約3センチ、1分が約0.3センチで、1尺は約30.3センチです。


    古い瓦が、新しい瓦より葺き厚が5分薄いことになるため、

    古い瓦を葺く面には、5分の縦桟を入れることで、葺き厚の薄さをカバーしているのです。


    また、1枚の瓦の幅が、新しい瓦は9寸5分あるのに対し、古い瓦は9寸しかなく、

    古い瓦は、新しい瓦に比べて湾曲が緩やかなため、

    一番上にくる縦桟の打ち方も変えているのです。


    写真は、南東面【右】と東面【左】の境目を中心に撮ったものです。

    どちらの面も新調した瓦を葺く面になりますが、
    前述したとおり、左右の面で面積が異なるので、
    桟を打つ前(=土居葺き)の段階では、面と面の境目付近の傾斜が微妙に異なります。

    この誤差も、桟打ちを工夫して施工することにより解消します。
    写真で見ると、左右の面の縦桟が交わる高さが同じになっていることがわかります。



    瓦の下でこのような施工をすることで、異なる時代に作られた瓦を使っても、

    すべての瓦を葺き上げた後、屋根のバランスを保つことができるのです。



    桟打ちが終わると、いよいよ瓦を葺き上げる工程へと移っていきます。

    お問い合わせ

    八幡市役所こども未来部文化財課

    電話: 075-972-2580 ファックス: 075-972-2588

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